こころ ほつまなる はなさくみよ
宮地 正典
この言葉は、古代の長歌で綴られた『ほつまつたゑ』の序文の最後に、後の美しい花の世に開く蕾として添えられた次の歌を受けたもので、私たちのこれからの世のあるべき形を表わしています。
しわかみの こころほつまと なるときに はなさくみよの はるやきぬらん |
(訳) 調和した美しい光の国の 心が本当のまことに なるときに 花の咲く美世の 春がきっと来ます |
『ほつまつたゑ』は、今から約二千年前、乱れた世を正し確固とした平和を実現するために十三代目の「すめらぎ」になる身でありながら、自ら進んで苦難に満ちたたびを続けた
「やまとたけのみこと」 がこの世を去ったことが契機となり作成されました。
永久の平和を願う 「みこと」の「残し文」に心を動かされた十二代目の「すめらぎ」、「おしろわけ(景行天皇)」の命を受けた 「をおたたねこ」は、太古から伝わる本来歩むべき「ひとのみち」 を 『ほつまつたゑ』 に纏め献上しました。
それは時代を越え太古も今も遥かな未来にも不変の価値を持つ、宇宙全体を包み込む壮大な美しい光の法則「あめなるみち」に従い、人がありのままの姿を大切にし素直に生きることです。
"All As One"の歌のように、私たちの世界は宇宙共通の光の言葉が美しい調和を保つことにより生まれました。
輝く光の集合体としての原子が結び合い美しい調和を保つことにより、宇宙全体が成り立っています。その中で光の言葉に従い36億年もの遥かな昔に、この地球上にたった一つ生まれた原始生命体から、人間を含めた総ての生物は「生命とよろこび」の世界を実現する同じ目的を持って進化し、今も変わらずに"All As One" としてあるのです。
その宇宙普遍の光の言葉をいま思い出してみることが人間には必要です。
日本の文化の神髄 「あめなるみち」 を表わす「ふとまにの図」は、光から宇宙が生まれた時に従った法則性を示すもので、現代の元素の周期律表と同じ概念を示します。また48音の日本の言葉には、染色体数やDNAの構造などの「生命の法則」 が反映されています。
このように日本の言葉には 「命と物」を大切にして生きる 「ひとのみち」の基本が込められています。
春になればたくさんの花が咲き、私たちの心を和ませてくれます。またたくさんの生物が私たちとともに同じ時を過ごしています。それらの生命を育むものは綺麗な空気と水と土であり、惜し気もなく降り注ぐ陽の光です。
「をおたたねこ」 は 『ほつまつたゑ』と一体である 『みかさふみ』 の序文に、 次の「花の添え歌」 を寄せています。
かかんなす はるのひとしく めぐりきて いそのまさこは いわとなる よよののてんの ほつまふみかな |
(訳) 命を育む光が燦々と降り注ぐ 春が等しく 幾度となく巡ってきて 磯の細かな砂は 岩となる (まで永久に続く) 世々の典範の 「ほつま文」 かな |
この歌の中には、人の世が絶えることなく続くことの大切さと、それを支える『ほつまつたゑ』 に記された 「ひとのみち」の不変の価値が示されています。 また「いそのまさこは いわとなる」は、日本人が歌い継いできた最も大切な歌と深いつながりを持ちます。
きみがよは ちよにやちよに さざれいしの いわおとなりて こけのむすまで |
(訳) あなたの世が 千代も八千代も 小さな小石が 巌となり 苔がむすまで (永久に続きますように) |
古代から日本人はお互いがこの歌を謡い、ともに末永く栄えることを願いました。
この歌のように数千万年に渡り人類が生き続けることは、その心を大切にし人の生きるべき道を素直に歩み、「生命とよろこび」の世界を実現するという命あるものの本来の目的に沿って発展を続ける限り可能なのです。それが人の基本となるべき考え方であり生き方です。
たかだか二千年で 「人類滅亡の危機」などが声高に叫ばれ、解決法を見出せずにうろたえる羽目に陥る状況は、そこへ導いてきた文明が「ひとのみち」から大きく逸脱する部分を持つものであることを示しています。それを乗り越えるものが古代から受け継がれてきた日本の文化の中にあります。
アインシュタイン博士は、1922年に日本を訪問し、人類の至宝ともいえる直感力で日本の文化の本質をとらえ、次のような「メッセージ」を私たちに送りました。
そのとき人類は世界を真の平和へと導いてくれる者を探し出さなければなりません
…世界の文明は…日本へ戻らなければなりません
私たちは 神に感謝します 私たちに日本という尊い国を作っておいてくれたことを
この 「メッセージ」 を元に、アインシュタイン博士が神に感謝するほどの価値を持つと言った、純粋な日本の文化の神髄を、私たちは次に来る世のためにもう一度思い起こしてみる必要があります。
さらに詳しい日本本来の理念について知りたい方は、拙著『〔新説〕ホツマツタヱ』(徳間書店)をお読みください。
アインシュタイン博士の「予言メッセージ」/
アインシュタイン博士の日本訪問/
あめなるみち/
「ふとまにの図」と元素の周期律表の類似性/
宇宙全体を包み込む 「やのきまり」
四八音の日本の言葉 「あわの歌」に込められた生命の法則とひとの染色体数/
「あめみの柱」とDNA右旋性ダブルヘリックス/
あめのしたしろしめすすめらぎ/
三種の神器/すずあかの道 ・すずくらの道/
太陽文明社会/
日本という尊い国/他