Photo & Report

※この文章は『Swing Journal』2005年3月号に掲載されたものを了解を得て転載しています。


Love Notes Live at JZ-Brat

2005年1月27日(木)@東京渋谷JZ-Brat
〜コアなファンから初心者まで幅広い支持を集めるユニット〜

 聴かせる女性ボーカルと気鋭のトランペッターによる話題のジャズ・ユニット・Love Notes。クラブ通いを続けるコアなファンから、ジャズに入門したばかりというOL層にまで幅広い支持を集めるこのバンド、筆者も一度生で観ておこうと機会を探っていたところ、今回のライブ取材の話が舞い込み、勇躍 “JZ Brat” に乗り込んだ。
 開園直前にクラブへ駆け込むと、客席は立錐の余地も無いほどの超満員。 活気付くJAZZシーンの現場に立ち会うと、業界の片隅にいる人間としてこちらも嬉しくなってくる。満を持して始まったライブは、<オール・オブ・ミー><酒バラ><バードランドの子守唄>とのっけから大スタンダードの連打で観客の意識を一気にステージへとさらってゆく。ムーディーな歌声で聴くものを酔わせた井上真紀、一息付いてのMCが実にふるっている。「前回のライブに来てくれたお客様から “僕は熱心なジャズ・ファンのつもりだけど、君らの演奏する曲は知らないものばかりだ” と言われたので、今日のステージでは知らないとは言わせない曲ばかりを集めました(笑)」。初めて観るものとしてはこのスタンダード攻勢は大歓迎である。聴いているこちらも覚えのあるメロディに思わず鼻歌を口ずさむ。これってライブ観賞の楽しみの原点ではないだろうか。
 Hiro川島をフィーチャーしたコーナーでは、<枯葉>を主題に哀愁に満ちたプレイをたっぷりと堪能させてもらった。ホーン奏者としての地力を発揮した後、続く<イパネマの娘>ではトランペットをウクレレに持ち替え、ブラジリアン・フレーバーに満ちたメロディを丹念につま弾いてゆく。ウクレレは知っての通りハワイの楽器だが、ボサ・ノバとの相性が実に良い。井上真紀の穏やかな歌唱とも相まって、究極のリラクシン・ミュージックとなった。後半、名だたるスタンダードを挟み、ハワイアンの<ビヨンド・ザ・リーフ>でクローズとなった。聞くところによると満員の為、入場を断念し帰路についたファンもいたそうだ。このユニット、程よい大きさのクラブで楽しむのは今が一番の旬の時期かもしれない。

『Swing Journal』2005年3月号掲載 文・写真:高橋慎一