Hiro's page


日曜日はジャムセッションに行こう!!

毎月1回日曜日にジャム・セッションを開催している。表参道のジャズバードはアクセスもいいし、若い人達がひしめく大通りからちょっと入ったロケーションもいい。1人で参加も勿論OKだが、彼氏や彼女を連れて来たって恥ずかしくない店だし、楽器を演奏するお父さんが家族と一緒に日曜日の締めくくりをジャムセッションで過ごすっていうのもいいんじゃないか・・・僕はそう思っている。

考えてみると、僕の半生はまさにジャムセッション人生だった。学生時代にイギリスのケンブリッジにいた時に、駅前のパブで連日繰り広げられていたジャズのセッションに参加したのがきっかけで、それ以来、機会があれば楽器を持って出掛けるのが習慣になった。特に僕の場合は卒業後長く会社に勤めていたからこのセミプロの期間にいろいろな場所でジャムに参加する事で演奏の機会を得て来た。海外出張が多かったことも、まあラッキーだった。世界中でセッションに参加したものだ。ロンドン、チューリッヒ、バルセロナ、セビリア、NY、LA、SF、メキシコ・シティ、ジャマイカのホテルでも演ったなぁ。東南アジアも香港、マニラ、ジャカルタなどなど。シンガポールなどは良いジャズクラブがいくつかあって、今でも行くと必ずジャムに参加する(写真はBlu-Jazでのジャムセッション風景)。

そもそも僕がやってきたラッパという楽器は、ある程度腕が上がらないとなかなか一緒に演奏してくれる人がいないものだが、反面出来る限りいろいろな人達と実際に演奏する事が唯一上達の鍵であることは間違いの無いことだ。だから僕はどこであれ行く先々でジャズを演奏しているバンドがあれば、ちょっと勇気を出して自己紹介をして一緒に演奏をさせてもらったものだ。ま、これもいわば自発的ジャムセッションである。当時まだろくにジャズを吹けないレベルの僕を温かく迎えてくれた多くのプレイヤー達や、何よりもそんな「演奏の場」がジャズという音楽の本質、楽しさ等多くの事を教えてくれたのだ、と今あらためて思う。

どんな楽器でもボーカルでも、ジャズに興味を持って何かを始めた人は是非ライフ・ワークとして続けてほしい。ジャズという音楽はとても人間的で奥深い。例えばスタンダードの名曲の美しさや魅力を心から理解して、更に自分の個性で音楽に表現するわけだから、自分の人間的な成長だって反映してくる。だからジャズを演ろう、と決心したならこれはアマチュアとかプロとかに限らずそもそも何年のキャリアでマスター?などできるものではなくて、一生のテーマなのだ、と僕は思っている。
それが最近始めたウクレレであれ、幼少に習ったピアノであれ、トランペットであれ、自分の楽器が自分の表現したい音を鳴らし始めるまでには、時間と忍耐と修練は必要だ。しかしそれが何歳であれ、それが実現したとしたら、何にも換え難い喜びでありきっとそれがまた更に音楽に取り組むモチベーションを与えてくれることだろう。1人ではなかなか成し得ない事も、ジャムセッションという場がそれを実現してくれる鍵になるかもしれない。少なくとも僕にとってはそうだった。

「ジャズこそは20世紀の人類が産んだ最高のアート・フォーム」と誰かが言ったが、時代は既に21世紀。今ジャズという音楽が特に注目を浴びているとは言えない。しかしジャズの持つ即興性やコスモポリタニズムといった普遍的な価値は、人がこれまでのテクノスフィアから今後ヌースフィアにステップ・アップしてゆく為のとても大切なエレメントを有している。他のプレイヤーと共鳴したり、スリリングなリズムに乗ってみたり・・・他人の演奏を「聴くこと」も勿論楽しいが、「演る事」はもっと楽しいものだ。そして自ら演る事によって、CDをたくさん聴く事や人の演奏を注意深く聞く大切さが納得できるのだ。

人類がジャズの演奏の様に自由に人生のリズムをドライブさせて、しなやかにメロディアスに生きてゆける日がもうすぐそこにきている。その感覚を、そのグルーブを人類の誰よりも先に実感してみたいと思いませんか??もしそれを実感したかったら、さあ、僕らと一緒に演奏をはじめましょう。 Hiro